全力で試作する

 先々の工作の内容が決まるとまずは試作をする。試作してみるといろいろなポイントがわかってくる。それらをメモしながら、工作のレシピを作る。  ここで大切なのが、子どもたちに見せる工作サンプル作りである。子どもたちに工作のサンプルを見せることには賛否がある。サンプルのマネをしてしまい、子どもたちのオリジナリティーが損なわれるので、サンプルはないほうがいいという意見がある。しかし、私は、全力でサンプルを作る。時にはサンプル作りに一週間かけることもある。  それは、私の作ったサンプルを見て、子どもたちが「すごい」「ボクも、私も、作っててみたい」と思ってほしいからだ。作品に向き合う姿勢。いいモノを作りたいという気持ち。自分で自分の作品を誇れる力。まずは、そうした凛とした気持ちを感じてほしい。作品に向うおなじベクトルに私も子どもも乗っかって成長したいと思う。  サンプルだけではなく、ビデオを見せたり、プレ実験をしたりして、子どもたちの気持ちを高める努力はしている。しかし、それ以前に、私がめざすものと子どもたちがめざすものが、同じ方向を向いているということが教える上で、最も大切なことなのだと思う。