今なぜ図工なのか?

2007年1月6日の新聞に図工に関した記事が載っていた。
 記事の要約は次のとおり。
 図工がとても好きと答えた児童は体育についで43%と多い。その一方で、保護者の図工に対する期待は低い。図工の授業時間も、算数や国語重視で、少なくなってきている。これに対して、東京藝術大学の教授が「がんばれ図工の時間フォーラム」を発足し、図工の時間数増加を求める署名を行っているというもの。

 図工の時間を増やすことは、私も賛成だ。だが、なぜ、図工の時間が大事なのかをもう一度考えなければならない。この記事では、なぜ図工の授業が大事なのかについて、このままでは「日本のお家芸である、ものづくりの未来が危うい」と書いている。私には、本当にそうなのだろうかという思いがある。図工イコール「ものづくり」というように短絡的に考えていいものだろうか。最近は、ニートやフリーターの増加により、早くから職業体験をするほうがよいという風潮があり、職業体験のできるキッザニア東京も予約でいっぱいという。しかし、小学生のうちから職業に直結させたり、将来の役に立つからやる(またはやらない)という即効型の教育がいいとは思えない。子どもたちは、ある時期になれば、自分の力で自分の道を決めていく。問題は、自分の力で決め、自分の力で選択していく力である。広くいえば生きる力であり、問題や困難を解決していく力とエネルギーだと思う。
 私は、そうした力を育てるには、スポーツでもいいし、他のことでもいいと思う。ただ、こどもたちが夢中になれること、好きなことではぐくんでいくほうがいい。工作が好きならば、工作を通じて、多くを学んでほしい。算数や国語には集中できない子供でも、工作には何時間も集中できる。自分の力で作る努力をし、完成した喜びは自信へとつながる。そうした経験を積み重ねることで、将来、自分の力で未来を切り開かなければなせらないとき、ひとりの人間として、力を発揮できるのだと思う。

<朝日新聞の記事>